私たちの生活における紫外線は、屋外だけではなく屋内にも存在し、人体に影響を与えていることは広く知られています。その対策方法としては「日焼け止め」、対策部分としては「肌」が一般的ですが、大阪市立大学の井上正康教授によると、目に入った紫外線も白内障などの眼病を引き起こすだけでなく、肌のメラニン生成の一因となることが明らかにされています。
紫外線が肌に当たらなくても、目に入った紫外線が、肌のメラニン生成を促す
紫外線は、直射日光だけではなく、地面やビルに反射する光にも多く含まれ、ありとあらゆる角度から降り注いでいます。紫外線についての正しい知識と適切な対策をとることが重要です。
目に入る紫外線で、肌のメラニンが増える 「知らなかった」47.5%
大阪市立大学の井上教授によると、「紫外線が肌に当たらなくても、目に入った紫外線が、肌のメラニン生成を促す」ことが明らかにされています。同教授がおこなったマウスの実験では、耳だけ、目だけそれぞれに紫外線を照射し、耳だけに紫外線を当てた場合は耳の部分だけが日焼けしたものの、目だけに当てた場合には、全身皮膚の日焼け、皮膚のメラニン量の増加が確認されました。
この「目に入る紫外線が、肌のメラニン形成に影響すること」について、どれくらいの人が知っているのかを調査しました。
調査対象者600名に「目に入る紫外線が、肌のメラニン形成に影響することを知っていましたか。」と尋ねたところ、「知っていた」52.5%、「知らなかった」47.5%との結果となり、目に入る紫外線の肌への影響については、いまだ十分に認知されてはいない現状が窺えます。
さらに、「知っていた」と答えた人と「知らなかった」人それぞれに対し、目の紫外線対策をしているかを尋ねたところ、「知っていた」人の40.4%、「知らなかった」人の26.1%が「目の紫外線対策をしている」との結果となり、「知っていた」人と「知らなかった」人との対策度合いに、およそ1.5倍の差がみられました。
【参考情報】「目から日焼けするメカニズム」~大阪市立大学医学部 脳科学寄附講座 教授 井上正康先生の考察~
目に入る紫外線 対策
これまでに、眼から入った紫外線は白内障などの眼病を引き起こすといわれておりますが、同時に皮膚などでメラニン産生も増加させることも明らかにされています。肌の紫外線対策としては日焼け止めクリームや日傘などが一般的になっておりますが、目の炎症を抑える目薬(UVキュアー)、UVカット機能付のサングラス(特に偏光レンズ機能型)やコンタクトレンズなども紫外線による皮膚のメラニン増加抑制に有効なことが証明されています。
裸眼状態のマウスではUV-B照射により皮膚のメラニン産生が増加します。紫外線が眼にあたることで角膜の上皮細胞が障害され、その炎症性ストレス反応が脳の視床下部下垂体系に伝えられ、「紫外線障害が起こる環境下にあること」を無意識的に認識し、下垂体からメラノサイト刺激ホルモン(ACTHやMSH)を産生分泌して全身の皮膚でメラニン生成を刺激します。その結果、肌に紫外線が直接あたらなくても、肌のメラニンが増加します。一方、上記のUVカット機能付き目薬やレンズ系デバイスを装用するとメラニン産生能が半分以下に抑えられます。このことから、目の紫外線対策も皮膚でのメラニン増加を抑制(日焼け防止)に有効であることが証明されています。
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