

2019年4月に東京都美術館で開催の、過去最多20点以上のグスタフ・クリムトの油彩画が揃う「クリムト展 ウィーンと日本 1900」に、新たに、ローマ国立近代美術館所蔵の《女の三世代》の出品が 決定しました。縦横約170cmと、壁画などを別にすればクリムト最大の絵画のひとつで、完成度も極めて高い作品です。日本では初公開(注1)となります。
《女の三世代》は、クリムトが深い関心を寄せた生命の円環をテーマに、人間の一生を幼年期、青年期、老年期の三段階に分けて寓意的に表す作品です。安らかに眠る幼子を優しく胸に抱く、若く美しい裸体の女性は、夢見るかのように目を閉じています。頭部から身体をつたって流れるように装飾的なモティーフで飾られた姿 は、生命の美しさ、輝きを体現しているかのようです。
一方、背後には年老いた女性がうなだれ、老醜を恥じるように手で顔を覆っています。3人の背後に広がるのは壁、あるいは屏風のように立ち上がる灰色と黒の平面で、生あるものに不可避の死あるいは滅びの象徴的表現とみることもできるでしょう。
これまで来日することがかなわなかったクリムトの大作、満を持しての初公開です。
注 1:ローマ国立近代美術館調べ
グスタフ・クリムト 《女の三世代》(写真上は全図、下は部分)
1905 年 油彩、カンヴァス 171×171cm ローマ国立近代美術館
Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea, Roma