コンクール


古澤巌コンサートスケジュール

子供の頃からコンクール漬けだった。

参加してる他の人の、演奏を聞く余裕もなく。

恐ろしくて、発表を見にも行けず。

辛い思い出。

エントリー年齢制限に達した時、

ホッとした。もう玉砕しなくていい…。

「コンクールなんて必要ない。」

ミルシテインにもヴェーグにも、必ず言われた。

音楽とは、そういうものじゃない。

わかるけれど。

勝ったのはたった3勝。今にしてみれば、

何と戦っていたのか…。

17でファイナルに進めず、18で入賞、19の時、2位になった。

19の夏休みの出来事。

「君、1日8時間は練習しないと、ものにならないよ。」

レッスンで言われ。

実は8時間は練習してた。

仕方なく、12時間に。結果は2位。

次の年、1位を狙いに。

過去に、狙って失敗例を数多く見てきただけに。

凄いリスク。ただ、優勝者はもう参加しない。そこがゴルフやオリンピックと違う。

それでも、参加資格の歳に達した、下から上がってくる神童達の勢いがまた凄く。

シード権でセミファイナルからとはいえ、

完璧を目指す。

緊張なんてもんじゃなく。

子供ながら、身体に悪いなと感じていた。

何気なく見ていた番組で、

外国の偉い先生のコメントが聞こえてきた。

「1日に3時間以上練習するようだと、ものになりません。」

いいこと聞いたな。

で、学園祭とかで歌ったりしながら、1位をゲット。

練習しないって、大事。

クライスラーもそうだった。

秀樹の辞書には「努力」が無いそうだし。

誰かが、勉強なんて馬鹿がするもんだって言ってたしな…。

若い頃は、他に何も目標が無かった。

演奏家になるのかなーと、おぼろ気に妄想しても、

演奏界は、外国人ばかり。他は、神童ちゃんや、かわいこちゃん。

自分には当てはまらず。

ダメじゃん。

母は、自分を外国人にしようと、

毎日毎日、自分にだけステーキを与え。

だからか、魚の骨を取るのが苦手。食べた事無かった。

魚を食べるのはオカルトで。

必ず、歯茎という歯茎に、

ありったけの骨が刺さり、血だらけに。

極めつけは、喉ちんこの ど真ん中に、ブスリ。

手が入らないので、手鏡を見ながら箸で抜いた。

でかい三角の骨だった。

高一からサッカーを日に5時間はしてたのに、

ステーキ食べ過ぎで?大学の検診で、コレステロール値が高すぎると言われ。

遠い外国の、わけもわからない、難しい音楽を、異国の地で戦う。

特に日本を背負ってもなく。意味すらわからず。

外国に出て、初めて、

日本って何だ?と思い始め、現在に至る。

最後のコンペがパームビーチ。

そこでタイフーンのポールと出会った。唯一の収穫。

そして葉加瀬と出会い、秀樹と出会い。

少しずつ、音楽が好きになっていった…。

今夜と明日は秀樹と山形。上妻君も。

青年よ ポップスを演奏しよう。

基本が大事? なら、なおさら。

音楽は、リズムとテンポとコードで出来ている。

メロなんて、最後。

そして怖れずに曲を書こう。

誰がどう思おうと。駄作なら、家で弾いてりゃいい。

たまたま売れたら、また書けばいい。

書いて初めて、人の曲の気持ちがわかる。

戦前までは、クラシック演奏家は、必ず作曲した。

少なくとも、ピアノ曲をアレンジしたり。

今でいう、葉加瀬みたいな。

当時のポップスを。弾いていた。

元々、皆、神童だったけれど。

ポップを弾いて、更に楽しくなって。

蓄音機で聴く音楽は、まさにそれだった。

裸の王さまになってしまいそうなら、迷わずポップス。そしてリズムの基本、ラテンダンス。

そうしたら、

1拍目の場所や、裏打ちの場所が、きっと見えてくる。

子供達のバンドだって、やってるんだから。

クラシックは90歳迄弾ける。

「70を過ぎたら、やっとハイドンがわかってきました。」

チェロの重鎮、青木先生の御言葉。

まだ35年もある。これからだ。

鈴木選手、お疲れ様。

今夜は心を込めて、

鈴木選手のために「愛の讃歌」を。

正直、心配で心配で、

何も見ていない。

もうこれから、皆も戦わなくていいのかな、と思うと、

他人事でなく、ガックリ肩の荷が下りる。

昨年、プリンスアイスワールドに参加しなければ、

気楽にオリンピックを楽しめたろうに。

スケートのみんな、無事に帰国して下さいよ。

それだけ待ってます。

日本のために、ありがとう。

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