食中毒は多発している
1996年大腸菌O-157(腸管出血性炎)により、集団食中毒が多発し社会問題化されました。食中毒被害は季節を問わず起こり、今日まで増加傾向にあります。
食中毒には様々な原因がありますが、微生物性(細菌性・ウイルス性)、自然毒(フグやキノコなど)、化学物質(メタノール、ヒ素、シアン化合物など)の3つに大別されます。日常で発生する大多数の食中毒は微生物性のため、このコーナーでは、食中毒=微生物性として取り上げます。
食中毒の主な症状は下痢や嘔吐で、時には死に至ることもあります。細菌に冒された食品を摂取しないことが一番重要ですが、日常生活での被害防止が大切であり、除菌剤の上手な使い方も重要な防止策となります。
食中毒の発生時期
日中の気温が高くなるにつれ、食中毒が発生しやすくなります。特に5月~10月が最も多く、年間の60%を占めます。細菌性食中毒は、梅雨時から増えはじめ、夏に向けてますます増えて行きますので、十分に気をつけなければなりません。
一方、細菌による食中毒が夏場に多いのに対し、ノロウイルスをはじめとするウイルスによる食中毒は、冬場に多いのが特徴です。
細菌性食中毒の中で、サルモネラ、腸炎ビブリオの患者数が最も多く、次いでO-157を含む大腸菌が多いのですが、近年ではカンピロバクターによる食中毒が増加しています。
食中毒の原因菌と特徴
◆ サルモネラ菌
【主な感染源】 鶏卵、鶏肉。不十分な加熱、手指や調理器具。
【主要症状】 腹痛、下痢、嘔吐
◆ 発熱腸炎ビブリオ菌
【主な感染源】 海産性の魚介類及びその加工品。
【主要症状】 下痢、吐き気、発熱
◆ 黄色ブドウ球菌
【主な感染源】 化膿した傷、にきびや鼻の中、のどなど。
【主要症状】 吐き気、嘔吐
◆ ボツリヌス菌
【主な感染源】 ハム、ソーセージ、缶詰、びん詰め、発酵食品。
【主要症状】 神経麻痺症状、嘔吐
◆ ウエルシュ菌
【主な感染源】 食肉及び魚介類。大量に調理した鍋底。
【主要症状】 下痢、腹痛
◆ カンピロバクター菌
【主な感染源】 豚牛鶏の腸管、鶏肉。
【主要症状】 下痢、腹痛、 発熱
◆病原性大腸菌
【主な感染源】 牛肉、牛乳。原因食品は多種。
【主要症状】 腹痛、下痢、吐き気、血便
◆ O-157
【主な感染源】 牛肉、乳製品、サラダなどの野菜、飲み水。
【主要症状】 嘔吐、下痢、発熱
◆ ノロウイルス
【主な感染源】 カキなどの貝類。
【主要症状】 嘔吐、下痢、発熱
家庭での食中毒予防
食中毒はどこの家庭でも起こる可能性があります。まずは細菌を「付けない、増やさない、殺菌」を原則にし、食中毒予防をしましょう。
細菌は汚染された食品や水、衛生管理の行き届かない調理器具や化膿した切り傷、糞便などを温床として存在します。
予防としては下記の通りです。
・キッチンは清潔にし、調理器具も除菌消毒する。
・調理前はしっかり手を洗う。
・食品は新鮮なものを選び、早く冷蔵庫に入れる。
・子どもや高齢者には生食は避ける。
・調理した料理は早く食べ、残った食材は再加熱する。
・細菌に負けない抵抗力をつける。
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