東京電力は14日、東日本大震災で被災した福島第1原発2号機で原子炉の水位が低下し、長さが約4メートルある燃料棒が2時間以上にわたり、水面から完全に露出する「空だき状態」になったと発表した。その後、燃料棒は半分まで水中に入ったが、炉内の圧力が高くなり水が入らず、午後11時過ぎに再び完全露出した。続く重大トラブルに、東電や経済産業省原子力安全・保安院は対応に追われている。
2号機冷却水、一時ほぼ喪失=空だき2時間余、炉心溶融―海水注入で回復急ぐ・東電
時事通信 3月15日(火)0時21分配信
東京電力福島第1原発2号機(福島県大熊町)について、同社は14日午後7時45分、冷却水が大幅に減少し、約4メートルある燃料棒がすべて露出したと福島県に通報した。原子炉は2時間余にわたって「空だき」状態になったとみられる。その後、原子炉内に海水が注水されたが、午後11時ごろに水位が急落、再び核燃料棒が露出した状態になった。核燃料の一部が溶ける炉心溶融が起きた可能性が高いという。
経済産業省原子力安全・保安院や東電によると、同原発2号機は同日午後、隔離時冷却系と呼ばれる原子炉の冷却系統が機能しなくなった。冷却水は午前9時の時点で、核燃料棒の上部から3.9メートル上まであったが、徐々に減少。同社は同日夕から、ポンプで海水をくみ上げ、炉内に注入する作業を始めた。
しかし、途中でポンプの燃料が切れて動作が止まり、水位はさらに低下。午後6時半ごろには、燃料棒がすべて水面から露出する事態に至った。担当作業員は他の号機のポンプの監視も兼務していたため、再起動に時間がかかったが、同社の武藤栄副社長は「現場はぎりぎりのところでやっている」と述べ、人為ミスの可能性を否定した。
東電は午後8時すぎ、ポンプの燃料を入れ直し海水の注入を再開。午後9時34分の時点で、燃料棒の下半分まで水位を回復させた。
しかし、午後11時ごろ、原子炉容器の弁が閉まり、内部の圧力が高まったため注水ができなくなった。このため、水位が下がり、再び燃料棒がすべて露出した。15日午前0時すぎには、圧力を下げるため外側の格納容器の弁を開放した。