HATS


古澤巌コンサートスケジュール

16日大阪を最後に、ベルリンアンサンブルとの公演が終わった。

遠い外国の、遠い昔の音楽を、

手探りで習った生い立ちの身には、余る光栄な出来事だった。

もし、あのままずっと同じ道をたどっていたら、

このチャンスは巡って来なかった…。

HATSに移籍して、いつの間にか7年も経っている。

そして、いつの間にやら、「クラシックの世界」では無い、カテゴリーに迎え入れてもらえたような。

ベルリンの皆も、YouTubeで葉加瀬やグラッペリのを事前に見てくれていたし、

海外で使うプロフィールには、バリバリPOP専門です、みたいに書いておいたら、

できもしないジャズのプログラムに招かれて閉口したり。

先週、ウクライナの天才ピアニスト、ロックウッド等に楽曲を提供しているドミトリーと初顔合わせがあった。

ドキドキ物だったけど、彼ととても仲良しに。

海外の聴衆の反応も面白い。

クラシックに対する敬意と、ポップスに反応するジェネレーションが手に取るように。

聴衆は、半分が年配のカップル。半分が、そこに遊びに来ている孫達。

自分の場合は、中学生位に人気があった。

そしてドミトリーは立派に、

自作のコンチェルトから、ご当地ソングまで弾ききり大喝采。

一流とは。本当に流石だ。

自分がHATSに来てその間、ほぼクラシックは弾かなかった。

右も左もわからないまま、葉加瀬に教えてもらいながら始めたPOPなバイオリン曲。

実際に、見てるのとやるのは大違い。

歌を歌っていたつもりが、

こんなにも通じていなかったのかと愕然。

クラシックでは、その程度で甘んじていたのを思い知らされた。

歌うのも、リズムも、テンポも、全てやり直し。50の手習いは、キツい。

思えば、専門にしていたジプシーバイオリンは、ほぼクラシック音楽だったし。

そんな経験が、

音符との新しいコミュニケーションを与えてくれた。

ベルリンのメンバーも、きっとまた、

何かを楽しみに逢いに来てくれる。

人生をこれ程までに豊かにしてくれたHATSレーベル。

知らない世界に首を突っ込む性分が、幸いすることもあるみたいだ。

世界を広げてくれた全てに感謝。

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