面も着けず、いつもの優しい眼差し。
なのに、
昨夜の津村先生の舞は、
鬼ヶ島の、悪霊そのものと化していた。
そして、太鼓を打ち鳴らす鬼共を、
束ね、揺らし、
まるで指揮者の如く、
鬼の世界に君臨する、
美しき怨霊の化身…。
鬼とは、
これ程までに美しく、慈愛に満ちた世界…。
鬼として生きるしか無かった世から、舞を介し、
その場に居合わせた我々に、投げつけられたもの。
5度目の本宮にして初。
殺戮と、慈愛。愛とは…、怨霊。
鬼城太鼓の連中は、
ただ無心に叩き続けている…。
何かが変わった。熊野のこの空気。
戦い続け、太鼓が駆り立て、
そして、美の化身が、
戦う者を愛撫する。
スサノオが、神武が、タケルがさ迷った道なき道…。
この舞が、 鎮魂と、甦り。
長い時を重ね、共に来た、
熊野を愛する仲間たち。
ありがとう。
そして、津村先生。
ありがとうございます。
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