せっかくなので、指揮者シリーズ第三弾。
ルーマニアの奇才、セルジウ・チェリビダッケの巻。
日本とは、特別な関係があるマニアックな指揮者。
その彼が、何故か学校にやってきた。
カーティス音楽院の卒業直前(1985)、なんと ひと月の間、毎日講義と20回のリハーサルが続いた。
あまりに厳しい練習。天下のカーティスオーケストラも、音を上げている。
フィラデルフィアを舞台にした映画「オーケストラの少女」。
その映画の指揮者、ストコフスキーが、フィラデルフィア・オーケストラを振り、そこから僅か数ブロック先にあるカーティスの学生オケも、その昔 振っていた。
バーンスタインも、我が師も 卒業生。
自分は、2ndバイオリンの、一番後ろから二番目で弾いていた。
普段、バーンスタインとか、スターが来ない日の練習は、いたって退屈。だから、チェリー。凄い刺激。
恐くて皆、泣いていた。アメリカ人が泣いてるのは、あまり見ない(彼の晩年、年を取り、怖く無くなったのか、彼のホーム、ミュンヘン・フィルも、やっと自由になった様に感じた)。
誰も言わない事、言葉に出来ない音楽の秘密を、彼は教えてくれた。
貴重な1ヶ月だった。カーネギー公演では、NYタイムスも、
「フィラデルフィア響より上手い」と書いてあった程。
おかげで、当時の学長は、予算を使い果たし 辞めさせられた。
でも、二度と無い、スーパーな時間。音楽の秘密は忘れない。
チェリーが去った次の日、いつものようにオーケストラのリハーサルがあった。
???チェリーが来る前と、何故か全く同じ音がしている。
おいおい、どんだけ~?
そんなにすぐ、忘れちゃったの~?
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