最後の授業


古澤巌コンサートスケジュール

今年になって、幾度となく行きそびれていた水曜クラス。やっと行ける。

到着すると、なんと今日が最後の日だった!

「女の人は、もっとお尻をつき出して!」
「男は後ろで女の腰を抱えて、腰を前に!」Oh! SEXY!

佐々木先生のハリのある声が飛ぶ。
「もっとSEXYに! 」

以前は、週に9コマもとっていた。超初心者の自分は、当然、最後列。後ろから、何も見逃すまいと、目を皿にして凝視する。佐々木先生のお尻が、どうして扇風機の様に回転するのか?見れば見るほど惚れ惚れする、美しく、まか不思議な動きだ。

そう、ダンスの話。ペアじゃなくて、一人で踊れる。

最初、クラスに入っていくには、並みならぬ決意がいった。サンバカーニバルに、突然乱入する勇気は無い。
おまけに、中は女性だけ。世のオヤジ達も、まさかこれは羨ましくも無いに決まってる。かくして、自分の最も恥ずかしい時間が始まった。

「もっと自分を見て!」
顔を上げ、鏡があろうと無かろうと、自分の姿を見る。踊り始めると、気を取られて、肝心の自分の事はそっちのけ。
「同じ踊りを皆で踊ってるようにみえないよ!」
日本人は皆、歩き方が違うんだそうだ。ラテンの人は、同じ様に歩き、習いもしないのに、同じ様に踊る。う〜ん参った。全く素養が無いのはわかってる。無理を承知で、佐々木先生の動きを真似ようとする。が、程遠さが残念無念。

もう何年か経った。しばらく振りにみる、佐々木先生の動きは、更に遠のいていた。
自分よりは若いけど、かわいい頃のマイケルに似た、ドメニカン。

今夜は自分のために、違う町まで行ってみよう。先生の夜クラス。

膝がガクガクする。

[GARD]スポンサーリンク