ステージで昔、歌を歌った事がある。
「東儀君も歌っているので、僕も歌います。」
とか言い訳にして。
その日、演目はジブリ特集。
ご想像通り、バイオリンで久石メロディを、次々に奏でる。
しかし素晴らしいなあ、久石譲さん。
書けたらいいな、こんな曲。
そして、数ある歌の中から、
一曲「風の谷のナウシカ」を選ぶ。
幼女が、「ラン、ランララ、ランランラン」と歌うあの曲。
自分はもう高い声がでないから、まずはドンキで、ヘリウムガスを購入。
以外に難しい。ガスを吸い続けないと、元の声に戻ってしまう。
「俺の歌っている間、ずっと無視し続けながら、絶対笑うなよ」と、
バンドメンバーをにらみつけ、いざ本番。
プログラムの曲順には定評があるだけに、ナウシカの配置も万全。
「いつも東儀君が歌っているので、今日は気分がいいので、ナウシカを歌います。」
やんやの大喝采。
いつになくみんながワクワクしているのがわかる。これなら秀樹も感激だな。このリアクション、やみつきになりそう。
イントロ、スタート。えっ?そっちの歌って?
けっこうでかいヘリウムガスボンベを取りだし、吸いながら歌いはじめる。
誰も笑ってない。どうしたんだろう?
みんな初めての、巌の歌を聞きのがすまいと、一生懸命聞いてくれている。
ああ、どうしていいかわからない。
困ってバンドの方に振り返り、助けを求める。
誰も笑ってない。俺の命令に忠実に、痛々しさをこらえながら、
必死で毛穴だけで呼吸しているのがわかる。
まずい。つーか、フルコーラス仕込んでるし。
後で客席の映像を見たら、みんな拍子をとりながら、真剣に聞いてくれていた。
また歌っちゃう?
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